ご報告

会期中に会場にて、集めさせて頂いた募金は、14,148円となりました。
端数を足した15,000円をまとめて、会期中、藤井光さんの「やっぺし祭り」はじめとする映像アーカイブを展示されていた『アートNPOエイド』に募金させていただきました。
「石巻ワンダー横町」の運営などにつかっていただけるよう、お願い致しました。

と同時に、以下のようなメールをいただきました。
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ご相談なのですが、いま、石巻の市立中学校の美術の先生から、
仙台のそあとの庭というNPOさんに支援の要請が届いており、エイドとしても寄付を集めています。

その中学校は、津波の被害を受けており、生徒たちの授業の道具一切合切を失いました。
いま、校舎の2階は、小学校が間借りをして授業をしています。
(その小学校は、ニュースでもよく取り上げられた、避難が遅れてたくさん児童が亡くなった学校)
美術の授業を再開したいと考えているのですが、同僚の先生たちも被災されておられる中で、
絵の具や筆、画用紙やなんかを学校の予算で購入することはできないうえに、
生活物資優先で、画材を支援して欲しいと声を出すのがはばかられるとのこと。
それで、仙台のNPOさんに相談を持ちかけたということです。

1年生が106名おられ、全員の画材一式を必要としていることから、
金額としては、50万円ほど集めなければなりません。

一部は、この件に寄付を分配させていただけないでしょうか?
また、もしどなたかこの件で寄付をいただけるような方がおられたら、
ご紹介くださいましたら幸いです。

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何かできたらと思います。募金箱を今後、islandにもおかせていただきますので、ご協力いただけたら幸いです。その他、『アートNPOエイド』の活動はこちら。

震災復興支援 表現の回復にむけて『アートNPOエイド』発足
みなさまからの寄付をお願い申し上げます。
http://anpoap.org

『一枚の絵の力』後記

『一枚の絵の力』展で、私は、一人の女性のことを書きました。その文章を転載します。

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震災にあった土地に行って、一人の女性に会いました。私よりちょっと若いくらいの、チエちゃんという女性です。彼女は、いろんな話をしてくれました。毎日、もう人の体をなしていない遺体の身元を、確認しにいっていること。本当におなかがすいたとき人は暴力的になること。それはとてもリアルで、でも私はそれに対して、ただともかく受け止めることしかできない。また東京に帰ってしまう。しかしそのころおこっていた自粛ムードの話をしたら、彼女は「元気な人は、できるのであれば、思いっきりやった方がいい」と。それに私が逆にはげまされました。

そして彼女が別れ際に「未来へ号」に書いたのが
「次は私が救いにいくよ」
という言葉。
すごい人に会ったなと思いました。

東京に戻って、表現するみんなに会ったら、みんな、不安な顔をしている。話をしていたら、はきだすように、心を吐露した。この現実に対して自分たちは何ができるのか?そんな言葉がたくさん出てきた。しかし、ともかく、私たちができるのは、一人の人間として、まずはお手伝いをすること。出来る限りの人が肌で感じ、一人でも多くの人が、共有すること。

そして感じたことを作家はやっぱり作品にこめる。こめてなくても、必ず作家の考えていることは作品にでてくる。そしてでてきた作品は、絶対に、プラスの力があると、私は信じている。
それがどんなものであれ、作品は、こんなに単純なものなのに、私たちに何らかの働きかけをする。勇気を、はげましを、あるいはかなしみを、楽しさを、与えてくれる。

そんな絵を、本当はまた、チエちゃんにも届けたい。チエちゃんは今、高校で美術を教えているそうです。彼女は、「子供達に、本物の絵がみせたい」そうメールをくれました。『一枚の絵の力』を、生徒に、みんなに、みせたい。伝えたい。それはきっと、人をはげまし、ワクワクさせ、そして勇気づけるものだから。                       
伊藤 悠

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彼女が、高校で表札をつくっているという話を、『一枚の絵の力』展の会期中、ヒッチハイクで秋葉原まで来てくれたサッコちゃんが教えてくれました。そして、サッコちゃんが、その表札を展示したい、展示を手伝ってくれないか、と言ってくれたのです。

そしてサッコちゃんはまた、石巻のお花やさんにかかっていた「一枚の絵」について、その「力」について話をしてくれました。そして『一枚の絵の力』展に来てくれたのです。

私は、やっと今、自分ができることがあった、と思って嬉しく思い、早速、『一枚の絵の力』の搬出後、石巻に行ってきました。

そこは、石巻の駅前商店街にある「boyz gallery」。サッコちゃんが泥だしのお手伝いをしているうちに知り合った四倉さんのご好意で、街の人が集まれる場所に生まれ変わりつつあります。そこで、『みんなの表札展』をしようということになったのです。
その概要は、以下からご覧頂けますが、
http://islandjapan.com/2011/06/20/hyosatsu/
毎日新聞
http://mainichi.jp/photo/archive/news/2011/06/20/20110620k0000e040056000c.html
私はそこでまた、一つ一つの廃材からできて、高校生ががんばってつくった、思いのこもった表札にあわせて、それが生きるように心をこめて展示し、一つの街ができてくるように、一つの村ができてくるようになっていくのがやっぱりすごく嬉しい。
それから、一緒に展示している四倉さんが「楽しい楽しい」と言っているのが、本当に嬉しい。チエちゃんの顔がやわらいで「よかった」と言っているのが、、それが本当によかったです。
サッコちゃんは、オープニングに、手作りでホットケーキをつくったり、もう一人のチエちゃんとチャイをつくったり、そんな「みせること」そして「みんなが集まる場をつくること」を、改めて大切に思って、これからもがんばろう、もっとやれることあるって思ったのでした。そんなわけで、これからも、精一杯取組めたらと思います。どうぞよろしくお願いします。
ありがとうございました。

自己紹介

自分の写真
アイランドジャパン株式会社 代表取締役 1979年滋賀県生まれ。京都大学法学部卒業。人間・環境学研究科修了。 京都造形芸術大学芸術編集研究センター、magical, ARTROOMディレクターを経て2010年islandをスタート。ギャラリーの経営、アーティストのマネジメントから、六本木アートナイトや寺田倉庫アート事業など外部企画のコーディネートやプラニングなど、アートと社会を橋渡しする活動をおこなう。早稲田大学文化構想学部でアートコミュニケーションを教える。 http://islandjapan.com/